受付を済ませると、年齢や男女問わずクールビズ姿の方やオフィスカジュアルな方はもちろん、ファッション誌から飛び出してきたようなおしゃれな方や、作業着姿の方まで、
様々な方が会場にはぎっしり!
「ファンドレイジング」ってなんですか?
NPOのファンドレイジングや社会の寄付文化の推進のため、
講演・執筆活動をされている徳永さん。
冒頭では、ファンドレイジングは単なる資金集めではなく、
「何のために使うお金が必要なのかを世間に伝えていく必要があり、
その過程で新たな社会に対する気づきを得られる機会である」
というお話がありました。
登壇したパネリストは、左から若尾明子さん(NPO法人クッキープロジェクト代表理事)、
吉田大樹さん(NPO法人グリーンパパプロジェクト代表理事)、
時田隆祐さん(一般社団法人熊谷観光協会 チーフプロデューサー)、
雛元聖子さん(NPO法人無料塾ひこざ 副代表理事)の4名
企業協賛を運営に生かす NPO法人クッキープロジェクト 代表理事 若尾明子さん
クッキープロジェクトは、福祉作業所でつくられる焼き菓子の商品開発の方法や届け方を、
障害者や施設職員だけでなく、シェフやデザイナーなどいろんな人と一緒に学び、
まちに届ける活動をしています。
「かわいそうだから買ってあげる」という福祉のイメージを変えたいと、
2007年に県の助成金でスタートしたプロジェクトでしたが、
現在は主に企業の広告協賛収入で運営しています。
当事者だけでなく、いろんな人の声があることで商品の届け方が変わります。
クッキーを食べた協賛企業の方の感想コメントを取り入れた
商品紹介ポップを取り入れるなどもその一つ。
そんな取組を応援してくださる企業の信頼が少しずつ浸透しつつあります。
企業からの応援の方法は現金だけではなく、チラシコピーやチャリティ菓子の提供など、
それぞれの得意を生かしたかたちがある、
いろんな「得意」を持ち寄る手法はクッキープロジェクトの持ち味です。
10周年のクッキーバザールでは160万円の売り上げもあったとか
様々な支援・協力・努力のおかげですね。
*
その他、企画書が上手に書けなくても、いい活動をしている小さな活動を応援したいと、
未来を託(タコ)す「タコファンド」というイベントを開催した事例の紹介もありました。
若尾さんは親しみやすいお姉さんのような雰囲気ですが、
どうすれば立場の弱い方々が今より少しでも世の中に認めてもらえるか
常に考えている熱い想いを持った努力家だと感じました。
助成金を活用する 吉田大樹さん(NPO法人グリーンパパプロジェクト代表理事)
三児のシングルファザーの吉田さんは都会のパパに、
地方に関心を持ってもらい、自然を通じて親と子どもが一緒に学びを得られる活動を行なうなど、
都会と地方で繋がることによりパパの新しいライフスタイルを提案しています。
助成金に関しては書類を書くのがとても大変そうだという印象がありますが、
吉田さんは原稿書き、自分の想いを伝えることがもともと好きで、
得意で大変だとは感じていないそうです。
それでもスムーズに行かないこともあり、何度もチャレンジする、
というポジティブさを持っていました。
クラウドファンディングを活用した観光まちづくり 時田隆佑さん(一社)熊谷市観光協会
クラウドファンディングを活用し、一般の参加者も支援者も参加できるワークショップ形式で
「移動式ピザ釜」の製作を行ったという、
北本の雑木林を市民の憩いの場にすると同時に保全をする試みが紹介されました。
資金調達製作のための資金は、クラウドファンディングの1つ、「FAAVO埼玉」で募りました。
クラウドファンディングとは
インターネットを通じて不特定多数の支援者から資金を調達する方法。
群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語です。
魅力的なリターン(お返し)を用意することが成功の秘訣と言われています。
個人向け、法人・企業向け、様々な支援を得たいと、
3,000円から1万円の金額設定を考えました。
目標金額を達成するためには、こまめに現在どんな状況なのか、
SNSを使った情報発信が大切とのことでした。
私は今回、初めてクラウドファンディングの詳細を知りました。
状況を追いながら逐一報告することは大変そうですが
コアなファンを獲得するにはよい手段だと思いました。
「暮らしと場の習慣を観光に」をモットーに、観光まちづくりに取りくんでいる時田さん。
人とのつながり・わかちあいを大切にされている方だと感じました。
子ども達の居場所をどうつくる? 雛元聖子さん(NPO法人無料塾ひこざ 副代表理事)
無料塾ひこざは、なんらかの理由で塾に通っていない小学4年生~中学3年生のための塾です。
助成金に頼らない運営をめざしている、と
運営経費などの推移などを詳しく紹介してくださいました。
近隣の埼玉大学の学生サークル「ひこざらず。」のメンバーも運営に協力しているそう。
ボランティアに興味がある人材や賛同者を集めやすい大学が近い恵まれた立地。
ですが、通って来る子どもの親御さんに向けて、塾の様子を伝える月間の新聞を作成するなど、
社会に対する気づきを促す地道な活動が賛同者を集める力になっているように感じました。
情報交換と交流のテーブルトーク
4名のパネリストからの事例紹介が終わると、テーブルトークへ。
活動資金の情報交換や交流ができるよう、机は12人がけになっています。
私たちも質問を記入したり、たがいに自己紹介すると、
自然な交流が発生し会場の熱気がぐっと上がりました。
まとめ(感想)
ファインドレイジングは、市民活動をされる方々にとっては、切実な問題。
休憩中「大変ですよね…」という声も聞こえてきました。
でも聴いているみなさんの表情はとても生き生きとして真剣そのものでした。
私たちは現在、クッキープロジェクトさんの協力により
「半歩づつ」社会復帰を目指し仕事体験で取材をしている立場です。
たった1人で生きづらさを抱え続けていた時間や
色々な方々にお世話になった経験が誰かのために活かせるのではないかと、
市民活動をされているみなさんの姿から、今回新たな気づきを得ることができました。
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耳慣れない話をまとめるには苦労もたくさんあったと思いますが事細かにメモをとり、
臨場感たっぷりにレポートまとめてくださったAさんFさん、ありがとうございました。
(取材体験担当スタッフ:谷居)